ニューズレター
著作権法の刑罰規定が検討中
経済部知的財産局は現在下記の各要因に基づき、我が国の現行著作権法の刑事責任に関連する規定について、刑の重さ及び「告訴を待って論ずる」原則について改正を行う必要があるか否かを含め、会議を召集し、検討した:
1.著作権の保護に関して、国際条約は、各国に対し有効な刑罰を採用し権利者の保障を実行するよう要求しているのみで、その手段や内容については各国の国内法に一任している。刑罰をどのように用い著作権侵害を阻止するか、又は如何なる刑の重さをもって臨むか、或は、親告罪又は非親告のいずれのを採用するのかについては全て、各国の立法政策に一任している。
2.我が国の現行著作権法の著作権侵害行為にかかわる処罰は、一般的な侵害案件については告訴を待って論じており、6ヶ月以上5年以下の懲役、NT$300,000以下の罰金を併科することができる。常習犯は告訴を待たずに論じる罪に属し、1年以上7年以下の懲役、NT$450,000以下の罰金を併科することができる。
3.著作権侵害事件の阻止には、法律による処罰規定のほか、権利者による積極的な権利の主張、検察・警察共同の強力な捜査及び裁判所による事実調査、適切な量刑の適用、これら全てが相互に関連している。権利者側は刑事責任を高め、極端な場合、完全に告訴を待たずに論じる規定の採用を望んでいる。しかし、著作権は、最終的には、私的権利の性質に属するものであり、その保護には権利者による主体的な権利主張が必須で、また刑罰の均衡性についても考慮し、その他の犯罪にかかわる処罰規定との均衡を失わないようにする必要がある。
4.知的財産権侵害の非犯罪化は、近年、司法院及び法務部が再三提出している提案であり、現在、著作権法の著作権侵害の刑の重さが適当か否かに関しては、各界で意見が分かれている。告訴を待って論じる規定に関して法務部は、告訴を要件とすることは、捜査に関する要件ではなく、著作権侵害に関する案件は常習犯でと否とを問わず検察官が全て主体的に捜査を進めることができ、被害者は依然として告訴を提出することができると繰り返し強調している。
5.各国の著作権法の著作権侵害に関して総合的に眺めてみると、刑罰はあるものの、その多くは依然として告訴を待って論じる原則を採用している。また、著作権侵害事件は多くの外国において民事訴訟を紛争阻止の方法としている。しかし、我が国の実務上、著作権者は刑事訴訟を民事賠償獲得の手段とする傾向があり、これは国情が異なる現況である。
会議に出席した専門家、学者及び検察・警察関係者と裁判官との見解は異なり、結論はまだ出されていない。今後の展開がいかなるものにせよ、本刊はこの問題について継続して報告する。