ニューズレター
台湾WTO加盟後の特許優先権に関する実務の変更
台湾はパリ条約の加盟国ではなく、パリ条約で定められた特許優先権を台湾で主張することはできない。しかし、特許法の規定によると、外国人出願人は互恵原則により台湾で特許優先権を主張することができる。現在の実務では、出願人が外国人である場合、次の2項の互恵規定を同時に満たしていなければ、国際優先権を主張することはできない。
(1)出願人が同一の発明、実用新案、意匠について中華民国と相互に優先権を承認している外国において最初に法により特許出願をし、かつ
(2)出願人の属する国が中華民国と優先権互恵関係を有している、又は出願人がいずれかの互恵国領域内に住所又は営業所を有している、場合(特許法第24条第3項の規定)。
台湾は2002年1月1日にWTOに加盟し、智慧財産局は、現在に至るまで、特許優先権実務の変更について正式に公告していない。しかし、過去数ヶ月間、智慧財産局が個別案件に対して行ってきた優先権に関する処分から、智慧財産局の優先権実務に関する次のような見解が見て取れる。
1.台湾のWTO加盟に伴い、WTO加盟国は全て台湾と優先権互恵関係を有する国と見なされ、該国民は全て台湾に対し特許優先権を請求することができる。但し、その請求する優先権日は2002年1月1日以降に限られる。
2.WTO加盟国の国民が台湾に対し特許優先権を主張するとき、特許の種類(発明、実用新案又は意匠)につき制限はない。
3.特許法第24条第3項には「出願人が属する国が中華民国と相互に優先権を認めていなくても、いずれかの互恵国内に住所又は営業所を有している場合には、特許優先権を主張することができる」と規定されている。前述の条文は2002年1月1日に施行された。
智慧財産局はこれまでのところ、こうした実務内容について正式に公告しておらず、将来、以上のような見解に変更が起こり得るのか否か、現時点では不明である。また、智慧財産局は、先ごろ次のような解釈を行った。台湾と互恵関係を有していない外国の国民が、台湾国内に住所又は営業所を有している場合、準国民待遇の原則により、台湾に対し特許優先権を主張することができる。
当所は今後も特許優先権実務の展開を注視し、本刊読者の参考に供するため、適時報告する。