ニューズレター
特許無効審判中又は商標登録無効審判中でも訴訟続行
商標の登録が旧商標法第37条の規定に違反する場合、利害関係人は商標主務機関にその登録の無効審判を請求することができ、無効審判手続中に商標権に関する民事又は刑事訴訟が提起された場合、商標権無効審判の審理決定が確定するまでその訴訟手続を停止しなければならない。以上のことは、旧商標法第52条第1項及び第60条に明文規定が置かれている。裁判所が訴訟を停止せずに下した裁判の効力について、商標法に明文規定は置かれていないが、最高裁判所91年(西暦2002年)度台非字第272号刑事判決は「商標法第60条に訴訟手続を停止しなければならないとの規定がある以上、したがって、審判を停止せず判決を下した場合、刑事訴訟法第379条第9号に定める法令の当然違背の事情に該当する。
しかし、2003年11月28日施行の新改正商標法第49条及び第56条の法改正理由には、「民事又は刑事訴訟を商標登録が有効であるか否かの判断依拠とする場合、該商標の異議又は無効審判審理中で異議又は無効審判が確定する前であっても、その訴訟手続の進行を停止するか否かは司法機関が職権により決定すべきであるので、旧法における、異議又は無効審判が確定するまでは訴訟手続を停止しなければならない、との規定を、訴訟手続を停止することができる、と改める」と記載されている。
特許法方面においても類似の訴訟停止規定がある。現行特許法(2002年1月1日施行の改正特許法)第94条には「発明特許権に関する民事又は刑事訴訟について、出願、異議申立て、無効審判又は取消しが確定する前に、調査又は審判を中止させることができる」と規定されており、この規定は実用新案及び意匠にも準用される。最高裁判所は91年(2002年)度台抗字第276号民事裁定で「特許法に、審判を停止することができる、と記載されている以上、訴訟手続を停止すべきか否かは裁判所の裁量により決定するものであり、必ずしも停止しなければならないというわけではない」と判示した。最高裁判所は92年(2003年)度台抗字第585号民事裁定でさらに一歩踏み込んで、「当事者が特許法第94条の規定を利用し、係属中の案件の調査又は裁判を無制限に停止させることによって、該案件の審理を不当に延滞させ、他者の正当な権益に影響を及ぼすことを防ぐため、裁判所が状況を斟酌した結果、訴訟手続の停止が適当ではないと認めた場合には、訴訟停止請求却下の裁判を下すことができる」と明確に判示している。
しかしながら、行政訴訟法第12条には「行政処分が無効又は違法であるか否かを根拠とする場合、行政訴訟手続によりこれを確定しなければならず、行政訴訟手続が既に開始されている場合には、かかる手続が確定するまで、民事又は刑事裁判所はその審判手続を停止しなければならない」と明確に規定されている。最高裁判所90年(2001年)台上字第523号民事判決は「民事訴訟の裁判につき、行政処分が無効又は違法であるか否かを根拠とする場合、先決事実を認定する行政裁判所による裁判後、該確定裁判で認定された事実を民事裁判所での裁判時の事実認定の依拠とし、異なる裁判所の裁判結果が互いに抵触することを防がなければならない」と判示している。最高裁判所民事法廷のこの判決からは、商標権又は特許権侵害に係る民事又は刑事訴訟案件において、商標又は特許の有効性について紛争がある場合、民事裁判所又は刑事裁判所には審査認定の権利がないため、民事及び刑事訴訟を停止しなければならないように推論される。
したがって、現在の実務において最も紛争性を有する問題は、行政訴訟法第12条の訴訟停止に関連する規定が現行の商標法又は特許法の規範とが異なっている以上、裁判官は行政訴訟法又は商標法及び特許法のいずれかを優先的に適用し、商標又は特許の権利侵害訴訟案件につき訴訟を停止すべきか否かを決定しなければならない点にあり、かかる問題については具体的な案件による説明が待たれる。