ニューズレター
商標の立体化は平面商標侵害の可能性
使用許諾を受けずに他人の登録済み平面商標を立体化したものと同一又は類似の商品が、2003年11月28日施行の改正商標法又は旧商標法に照らして商標の使用に相当し、商標侵害を構成するか否かについては、実務上かなり議論がある。裁判所のこれまでの数多くの見解は、「一般の消費者にそれが商品を表彰する標識であると認識させ、それを以って他の商品と区別させることができるものであれば、使用形態が平面であれ立体であれ、全て商標の使用と見なす」としている。
但し、今後は多くの場合、立体化された商標の使用が旧商標法に違反するとは見なされなくなることが予想される。士林地方裁判所の2002年度易字第378号刑事判決及び台湾高等裁判所2002年度上易字第1083号刑事判決はいずれも、「旧商標法第5条第1項の商標の定義は文字、図形、企業、色の組合せ又はそれらの結合に限られるため、商標保護は平面のデザインにしか及ばず、立体の外観若しくは造形は包括されない。したがって、商標の使用もまた平面にのみ限定され、商標を立体化することは含まれない」としている。
しかし、最高裁判所2003年度台上字第1879号民事決定は台湾高等裁判所高雄分所の2000年度重上字第95号民事判決の見解を支持し、「旧商標法に従って商標登録出願した商標は、文字、図形、記号、色の組合せとそれらの結合など平面デザインに厳密に限定され、『立体商標』を包括しないが、これは商標デザインの「形状、位置、配列、色」の変更を予防することを目的とするものであり、平面商標を立体において使用を意味するものではなく、商標法の保護を受けることができないわけではない。したがって、旧商標法の第61条、第62条の『他人の登録商標と類似するもの』に関して規定されている商標権侵害は、当然『商標商品化』若しくは『立体化商品』を包含し、商標権及び消費者の利益を保障する」と判示している。
2003年11月28日施行の改正商標法第5条第1項の規定は、三次元空間の立体形状を商標の類型の1つとして保護しているが、やはり法に従い立体商標として登録してはじめて保護を受けることができる。智慧財産局は2004年4月28日に公告した「混淆誤認の虞」審査基準第5.2.9点「商品又は役務が類似しているか否か、及びその類似程度」についての規定において、「立体商標と平面商標の間でも類似性を構成する可能性がある」と言及しており、最高裁判所2003年度台上字第1879号民事決定の趣旨に近い立場を採っている。いずれにせよ、平面商標としてのみ登録した場合、立体造形の商標使用を防ぐことができるか否か、又は、立体商標を登録した場合に平面商標の使用が商標侵害を構成するか否かは、改正商標法の施行後も依然としてかなり議論のある問題であり、実務上の明確な解釈・説明が待たれる。