ニューズレター
会社法改正
会社法の一部改正条文が2005年5月27日に立法院で可決され、2005年6月22日に総統により公布された。今回の改正の目的は、完全なコーポレートガバナンス制度の確立にあり、その重点は以下の通りである。
1.会社の経営業務は営業項目コード表により登記しなければならない
会社営業項目コード化作業は1998年1月1日から実施されたが、該作業実施前に設立登記された会社の経営業務の多くは依然として文字で記載されている。新法では「これらの会社は、その事業を変更する場合、コード表により新たに登記を行なわなければならない」と規定されている。
2.法人発起人資格制限の緩和
改正前の会社法には「法人が株式会社の発起人となる場合、会社に限るものとする」と規定されている。法改正後は、会社以外にも、自ら研究開発した専門技術又は知的財産権を以って投資する法人、及び目的事業主務機関により創設目的に適合すると認められ許可された法人(例えば私立大学等)も全て発起人となることができる。
3.折衷式授権資本制度を授権資本制度に変更
会社成立を迅速にするため、並びに会社の資金集めの便宜を図るため、新法では「会社設立後及び増資後に初めて発行しなければならない株式は株式総数又は増加した株式総数の25%より少なくてはならない」とする規定が削除された。これを以って、新たな金融商品の発行に応じて、会社が株式総数の25%を計算する不便さを回避する。
4.取締役、監察人の選任及び解任の議案は臨時動議で提出できない
改正前の会社法には「取締役及び監察人『改選』の議案は臨時動議で提出することはできない」と規定されていたが、「改選」に「補選」及び「解任」が含まれているか否か、実務上しばしば紛争があった。新法では「改選」が「選任又は解任」に改正され、取締役及び監察人の改選、補選又は解任は全て取締役及び監察人の身分の変動に属し、臨時動議で提出できない事項となった。
5.株主総会開催通知、議事録の作成及び送付は電子方式で行うことができる
電子科学技術の進歩に対応し、会社の書面通知業務のコストを削減するため、新法では「会社の株主総会招集通知は、株主の同意を得た後、電子方式でこれを行うことができる」と規定されている。このほか、株主総会議事録の作成及び送付も電子方式で行うことができる。ここでいう電子方式とは、「電子簽章法」(「電子署名法」)の規定による。
6.株主提案権
株主が積極的に会社の経営に参加できるよう、新法には株主提案権導入の規定が設けられている。新法の規定によれば、会社は定時株主総会招集前の株式名義書換停止日前に、株主提案の受理、受理場所及び受理期間を公告しなければならず、該受理期間は10日以上でなければならない。発行済み株式総数の1%以上の株式を所有する株主は、受理期間内に、書面を以って会社に対し1項目につき300字以内の定時株主総会議案を提出することができる。会社は、株主総会招集通知日前に処理結果を議案提出株主に通知しなければならず、並びに規定に合致する議案を招集通知に記載しなければならない。提案株主は定時株主総会に自ら又は他人に委任して出席し、議案討論に参加しなければならない。
7.株主は書面又は電子方式を以って議決権を行使することができる
株主が株主総会の議決に参加することを奨励するため、会社は、株主が書面方式を以って又は電子署名法による電子方式を以って議決権を行使することを許可することができ、並びにかかる方式の議決権行使は自ら株主総会に出席したものと見なされる。但し、会社は、株主総会招集通知に書面又は電子方式で議決権を行使する方法を明記しなければならない。株主の意思表示は株主総会開催5日前に会社に送達されなければならない。このほか、株主が株主総会当日欠席した場合に議事をスムーズに進めるため、新法には「該株主は、該株主総会の臨時動議及び原議案の修正について棄権したものと見なされる」と明確に規定されている。
8.相互保有株式に議決権はない
従属会社(子会社)がその統制会社(親会社)の株式を所有し、該統制会社の株主総会において該所有株式の議決権を行使することは、事実上、該統制会社自身が自社の株式について議決権を行使することにほかならないため、コーポレートガバナンスの原則に基づき、新法には「従属会社が所有する統制会社の株式、並びに統制会社及び従属会社がその他会社に再投資して所有する統制会社及びその従属会社の株式には議決権がない」と明確に規定されている。経済部は2005年6月7日にこの改正条文の適用について通達を作成し、「会社の株主総会開催日が会社法改正発効日当日以降であれば、株式相互保有の情況での、その発行済み株式総数の計算は、改正発効後の会社法の規定により行わなければならず、開催通知書発送日とは関係ない」との見解を示している。
9.取締役、監察人の指名制度
会社の健全な発展及び株主権益を保障するため、新法には「会社は、取締役、監察人候補者指名制度を採用することができる」と規定されており、これを以ってコーポレートガバナンスの推進を図る。会社が候補者指名制度を採用する場合には、会社定款にその旨明記しなければならず、並びに株主総会招集前の株式名義書き換え停止日前に、候補者指名を受理する期間、選出すべき人数、受理場所及びその他の必要事項を公告しなければならず、また受理期間は10日以上でなければならない。発行済み株式総数の1%以上の株式を所有している株主は、書面を以って会社に対し候補者リストを提出することができ、並びに関連資料及び証明書類を添付する。取締役会(又はその他の招集権者)は、指名された候補者について形式審査を行わなければならず、法定事由を有する場合を除き、指名を受けた候補者を候補者名簿に記し、並びに審査記録を作成しなければならない。会社は、定時株主総会開催40日前又は株主臨時総会開催25日前に、候補者名簿及び関連資料を公告しなければならず、これを以って株主が候補者名簿により選任を行う便宜を図る。