ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

源泉分離課税制度-新型金融商品の課税方法



近年、政府は経済全体又は特定の産業の発展に対して税制上の優遇措置を講じるべきであるとする識者が少なくなく、確定申告に基づく総合課税制度から、特定の所得について比較的低い税率で課税する源泉分離課税への移行を主張している。たとえば、受益者が不特定又は未だ存在しない株式型投資信託(shares trust)につき受益者が取得する配当に対する所得税や、特定目的信託(Special Purpose Trust、SPT)財産の所得が実際に分配される際に規定の課税率に従って徴収される分離課税や、個人が条件付きで売買する不動産を証券化した受益証券、金融資産を証券化した受益証券、債権の満期金額がもともとの購入金額を超過した分の「融資利息」所得などである。これらの新しいタイプの取引又は商品が生み出す所得は、関連法令において、いずれも立法者により分離課税されなければならないと主張されており、これによって個人総合所得税の最高税率40%及び営利事業所得税税率25%より低い課税率で租税コストを引き下げ、当該金融商品又は各種金融商品の市場における優位性を強化し、新型商品の発展を奨励する。源泉分離課税制度には相対的に徴税コストを抑え、税収を安定させるという特長があるものの、立法機関はこれら課税方式の公平性に対し偏った考え方をもってはならず、分離課税制度が実質的な公平・正義という目的を達成できるか否かについて総合的に考慮すべきである。

現行の所得税法では、源泉分離課税方式で納税する所得項目は全て、確かに確定申告に基づく総合課税制度によって納税することのできないものであり、かかる例外情況は大まかに以下のように分類することができる。

1.台湾に固定の営業場所又は営業代理人をもたないなど、源泉分離課税方式によらなければ当該所得に対する課税の能力を失う場合。
2.外国から我が国の営利事業者に技術サービスを提供するなど、コストを分類して計算することが困難な場合。
3.短期債の利息所得など、性質上適さないか、又は行政上困難がある場合。
4.検挙報奨金受領者に対する身分の秘密保持、或いは累進税率が政府主催の宝くじの売れ行きへ影響することを回避するなど、その他の目的を有する場合。

したがって、全ての所得に源泉分離課税が適用されるわけではなく、たとえば、台湾に固定の営業場所又は営業代理人をもたず、台湾の租税管轄権に属さない外国の事業者が台湾に由来する所得を有する場合、法に従い当該所得について源泉分離課税しなければならないが、当該外国の事業者の属する租税管轄国が台湾と租税協定を結んでいる場合は、当該国の徴税機関から当該事業者の当年度の所得についての資料を得ることができるので、当該事業者の一つ一つの取引の所得について源泉分離課税を採る理由はない。確定申告に基づく総合課税制度では所得者の一つ一つの取引における損失が課税所得を引き下げることができるのに対し、全額分離課税はかかる効果をなおざりにしているため、このとき所得者が制度上、確定申告に基づく総合課税制度によって当該年度全ての台湾由来の所得について納税する場合、コストを控除することができるので、所得者の実際の損益状況を反映し、かつ既に課税された税額を以って、当年度の納めなければならない税額に充てることができ、より合理的である。

財政部2007年1月11日付台財税第9604506050号通達によれば、台湾と租税協定を締結している国の企業が得た台湾由来の所得が、所得税法第88条に規定される各項所得に属し、かつ同法第73条第1項の納税義務者が給付時に納税しなければならないものである場合、もし当該企業が台湾国内に固定の営業所又は営業代理人をもたないのであれば、主管官庁に、確定申告に基づく総合課税制度による納税へ変更する旨申請し、営業費用を差し引くことによって租税負担を低減することができる。具体的な方法としては、台湾国内に居住する個人に委託するか又は固定の営業場所をもつ営利事業者を代理人とし、申告納税について代理責任を負わせる方法が挙げられる。これによって当該代理人は当該企業が台湾国内に有する常設機構(たとえば、その従業員又はその他の雇用者によって、台湾国内においてサービスが提供され、それが一定期間を超えるもの)と見なされ、台湾の徴税機関は当該サービス提供に帰属する営業利益について所得税を課税することができ、当該企業はその利益獲得状況に応じて確定申告に基づく総合課税制度を自由に選択する権利を有し、関連コストを控除して減税することができ、外国企業の税負担は軽減されることになるであろう。しかし、委託を受ける代理人は、単独で帳簿を設け、適法な証明書及び関連書類、資料を具え、譲渡対価を示す書類を準備して、徴税機関に提出し審査を受けなければならない。

これまで、台湾の所得税法は確定申告に基づく総合課税制度を主とし、源泉分離課税制度は補助的なものだった。その理論的な基礎は、所得税は「量能課税原則」(能力に応じて課税する原則)に合致しなければならないという点にあり、即ち、所得があれば納税しなければならず、所得額に応じて納税額も多くなければならない。故に、確定申告に基づく総合課税制度は所得者の一定期間における全ての収入から必要コストを差し引いた後の所得金額(プラスの場合)について累進税率によって課税するものであり、無所得又は損失の場合には課税する必要はない。これに対して源泉分離課税制度は所得総額について課税徴収して納税を完了するものであり、コストを控除することができない。したがって、たとえ営利事業が当年度に損失を出したとしても、その収入について課税徴収されることになり、所得がない場合にも依然として所得税を負担しなければならないという結果をもたらす。このほか、固定課税率は、異なる累進課税率が適用されるべき個人に対し、同一の税率を一律に適用することになり、いわゆる租税上の垂直的不公平が生じ、所得再配分の効果が失われるだけではなく、分離課税の商品に資本が過度に流れ、資源の配置バランスを崩す結果をもたらす。或いは同一税率を適用すべき者についても、分離課税の商品に投資しているか否かの違いで、実際の租税負担に差異が生じる。これはいわゆる租税上の水平的不公平である。仮に、源泉分離課税率が10%にまで引き下げられたとしても、総合所得税率6%が適用される投資者にとっては、依然として4%も余分に納税しなければならず、公平かつ理に適っているとは言い難い。
この2007年1月11日付財政部通達は、確定申告に基づく総合課税制度が追求する「量能課税原則」(能力に応じて課税する原則)に合致し、租税負担の公平性を実現しており、台湾と租税協定を結んでいる外国企業にとって非常に有益である。現在、金融市場の数多くの新商品の課税方法が未だ定まっていない問題について、財政部は早急に法改正を行い又は命令を発して納税義務者が依拠とする規範を示すべきであるほか、前述の「量能課税原則」を考慮して、分離課税制度の適用範囲を慎重に検討すべきであり、租税徴収について現行の徴税技術で実行可能な範囲において当該種類の所得が確定申告に基づく総合課税制度で課税できない理由を確かに有するか否か確認して初めて、源泉分離課税方式の正当性を以って、台湾の所得税制度が過度に複雑かつ不公平で理に適っていないとの疑いを否定することができる。

このほか、所得税の納税義務者にとってみれば、各種新型金融商品に合わせた税制に絶対的な善悪はない。源泉分離課税は、高税率の累進効果を避けることができるとはいえ、所得総額について徴収するものであるため、金融商品が損失を出したり又は必要なコストが生じたりした場合、既に課税徴収された税額から差し引くことは完全に不可能で、必ずしも租税負担が軽くなるとは言えない。これに対し、確定申告に基づく総合課税制度は実質的な所得金額に応じて課税するもので、基本税額が相対的に低くなり、かつ、たとえば過去年度の損失又は投資を差し引くなど、台湾のその他の税制優遇策を適用する機会もあり、また、損失を出しても所得税を負担しなければならない事態に陥ることもない。財政部又は立法機関は金融商品について税制を構築する際、特定年度のデータに基づいてのみ考慮するのではなく、 全面的に入念に検討して初めて、金融商品発行者が低税率によってビジネスチャンスを得る一方で高過ぎる所得税を負担するような事態に陥ることを回避することができる。
回上一頁