ニューズレター
会社責任者が業務執行を怠った場合にも責任を負わなければならない
台北地方裁判所は2008年3月11日に、「財団法人証券投資人及期貨交易人保護中心(the Securities and Futures Investors Protection Center)」(「財団法人証券投資家及び先物取引家保護センター」)が皇統科技股份有限公司等の件につき抗告した案件について、「皇統科技は各取締役及び監察役と連帯して損害賠償責任を負わなければならない」とする判決を作成した。そのうち一部の判決理由は大いに参考に値するものであり、その内容は大まかに次のとおりである。
「公司法」(「会社法」)にいう「業務執行」は、通常、広義の解釈を採用し、会社責任者の業務上の行為を広く指しており、且つ、執行する業務は、積極的な業務執行行為により生じた損害に限定されず、法律の規定に依れば、執行義務を負っているのにもかかわらず執行を怠って他人に損害を与えた場合も、これに属す。蓋し株式会社の取締役、監察役は株主総会で選出され、それぞれ会社業務執行及び監督という重責・大任を任され、各々の任期内において会社との間に委任関係が存在し、法に依りもとより業務を忠実に執行し且つ善良なる管理人の注意義務を果たさなければならない。しかし、もし、取締役、監察役が自らの職務の重要性を理解できておらず、任期内において、会社の業務執行、政策決定、又は監督、審査・確認等の重要事項を全く関与しないのであれば、取締役、監察役の職位をいわば名ばかりの存在とするものであり、業務執行と監督機関を分立することによって業務執行機関の専横、職権濫用を回避しようとする「公司法」の立法目的を全く果たすことができなくなる。
また、もし取締役、監察役が法律の規定を無視して、財務諸表の編成、審査・確認又は申告といった法定義務を履行しないことによって、他人が虚偽不実の財務諸表を作成するといった大それたことをやすやすと行い、大幅に粉飾された財務諸表を利用して、社会大衆の投資を引きつけることができるような結果をまねき、且つ、職務執行を怠っているため、当該これらの不法行為は会社の監督、内部コントロールシステムによって発覚することもない。したがって、取締役、監察役が故意に法定義務の履行を怠り、その結果、投資家が誤った財務諸表によりミスリードを受けて、誤った投資決定を行い、そのために損害を受けるような事態をまねいた場合、取締役、監察役は「公司法」の規定に依り、損害を受けた投資家に対して、会社とともに連帯賠償責任を負わなければならない。