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新「商標法」まもなく施行


Jane H. C. Chen

「商標法」改正草案は2011531日に立法院の三読(最終審議)を通過し、同年629日に総統により公布された。今回の改正によって条文は94条から111条となり、2003年の法改正後、改正規模の最も大きいものとなった。今回の法改正は多くの制度変革に関わるものであるため、智慧財産局は現在、今回の法改正に合わせた、その他の関連法規や措置の改正や改定(商標法施行細則、審査基準、出願書のフォーム及びコンピュータのデータシステムの改正などを含む)を進めている最中であり、関連法規や措置の改正や改定が完了した後、行政院が別途、施行日を公告する。

新商標法の主な改正内容は、以下のとおりである。

1.

商標の各種使用行為の態様を明確に規定

 

商標の使用行為を従来の概括的な規定から例示規定に改める。

2.

商標の保護客体を拡大

 

国際社会の趨勢に合わせて規制を緩和し、商品又は役務の由来を識別することのできる標識は全て商標登録の保護客体とすることができる、とした。したがって、2003年の法改正で「単一色商標」、「立体商標」及び「音声商標」という非伝統的商標を保護範囲に入れたのに続き、新たに改正される商標法では再度、非伝統的商標の保護範囲を拡大し、「香り商標」「動く商標」及び「ホログラム」を、商標登録を出願することのできる対象に加える。

3.

展示会優先権の規定を新たに追加

 

出願人は、中華民国政府が主催又は認可した国際展示会において登録出願する商標を使用した商品又は役務を出展し、出展日からヵ月以内に商標登録出願を提出する場合、出展日を優先日として優先権を主張することができる。

4.

商標共有の関連規定を新たに追加

 

現在、実務において既に商標共有登録の申請を受理しており、商標出願は国民の権利義務の規範事項に属すため、商標法に明確に規定されることは妥当である。

5.

「権利不要求」の声明に関する規定を改正

 

もし、商標に含まれる、識別性を具えない部分(たとえば、通用名称又は明らかに識別性を具えない説明的な文字)が極めて明らかなものであれば、第三者が商標権の権利範囲について疑問を生じるおそれはないため、智慧財産局は出願人に当該部分について権利不要求の声明を要求する必要はない。

6.

出願人又は権利者が商品又は役務を縮減、分割を申請、及び権利不要求を声明できる時点を新たに追加

 

これまで出願人又は権利者は行政救済期間において、はじめて、商品又は役務を縮減、分割を申請、及び権利不要求を申し出ることができたが、これによって行政機関は繰り返し審査を行うこととなり、行政資源が浪費されてきた。そこで、今回の法改正では、これらの申請は出願案の拒絶査定前及び紛争案の処分前に提出しなければならない、と改められた。

7.

登録料の納付期限を遵守できなかった場合の権利回復規定を新たに追加し、並びに登録料二分割納付制度の規定を削除

 

故意ではなく期限までに登録料を納付しなかった場合、第三者の権利に影響を与えなければ、出願人は依然として納付期間満了後6ヶ月以内に、登録料を納付することができる(但し、費用は倍額で計算する)。このほか、登録料はいずれも1回で納付しなければならない。

8.

専用使用権及び通常使用権の関連規定を新たに追加

 

実務上の使用許諾契約のモデルに応じて、新たに改正された商標法では、商標使用許諾が専用使用権と通常使用権に区分された。また、契約に別段の約定がある場合を除き、商標権が侵害を受けた際、専用使用件の範囲内で、専用使用権者は自らの名義で民事及び刑事の商標権被侵害に係る救済を求める権利を行使することができる。

9.

無効又は取消しの根拠とする商標につき、請求前3年間の使用証拠の提出を新たに追加

 

同一又は類似の商品又は役務を指定して先に出願又は登録された商標に基づいて無効又は取消し請求を提出する場合、もし無効又は取消し請求の根拠とする商標の登録が既に3年を経過しているのであれば、請求人は無効又は取消し請求前3年間の、当該紛争の根拠とする商標の使用証拠又はその未使用には正当な理由があることを示す証拠を提出しなければならない。

10.

商標権侵害認定に関する規定を改正

 

1. 

商標権侵害とみなす場合、登録された著名商標の識別性又は信用が損なわれるおそれがあることを立証しさえすればよく、実際に損害が生じるのを待ってから主張する必要はない、とすることによって、著名商標に対する保護が不十分なものとならないようにする。

 

2. 

商標権侵害のおそれがあることを明らかに知りながら、商品又は役務とまだ結合していないラベル、タグ、包装容器、又は役務と関係のある物品を、製造、保有、展示、販売、輸出、又は輸入する行為は、商標権侵害とみなされる。

11.

税関の水際措置の関連規定を新たに追加

 

1.

水際措置につき、職権による押収及び権利侵害貨物情報の提供に係る規定を新たに追加

 

 

税関の職権による押収に係る規定を新たに追加する。このほか、押収物の機密情報の保護を損なわない情況下で、商標権者は法により税関に関連資料の提供を申請し、税関の同意を得た後、輸出入者、荷主・受荷主の氏名又は名称、住所、及び権利侵害の疑いのある物品の数量などの情報の提供を受けることができる。

 

2.

商標権者は税関から商品サンプルを取り寄せて権利侵害認定を行うことができる旨の規定を新たに追加

 

 

実務上、一部のコピー商品の権利侵害認定が困難であることに鑑みて、商標権者は担保金を供託する方法で税関から商品サンプルを取り寄せて権利侵害認定を行うことができる、とする規定を新たに追加する。

上記の商標法改正条文において、商標権者が最も注目すべきは、新法では、「商標権者が同一又は類似の商品又は役務における登録商標に基づいて無効審判又は取消審判を提出する際、もし無効審判又は取消審判請求の根拠とする商標の登録が既に3年を経過しているのであれば、請求者は当該商標の台湾での使用証拠を提出しなければならない」とする規定が追加された点である。かかる規定の追加によって、商標権者の権益の保護には困難が生じることになる。筆者は、商標権者は即刻、自身の商標の台湾での使用情況を調査、確認するとともに、当該商標の保護プランや保護戦略を再検討することを提案する。

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