ニューズレター
故意又は過失行為には異なる処罰を
税法の処罰規定には、納税義務者が規定に違反して税金の過小納付又は未納付が生じた場合について、それが行為者の故意によるものか、又は過失によるものかを区別して異なる過料の額又は倍率を科すことにつき、逐一明文化されていない。但し、行政罰法第18条第1項の規定によれば、過料を科す場合、税法上の義務に違反して得た利益を斟酌しなければならないほか、税法上の義務行為規定に違反したことについて非難程度も斟酌しなければならない。税法上の義務規定に違反した行為者につき、その主観的な責任条件に故意又は過失を有するかの区別は、両者の非難程度ともとより別物であるため、税務調査徴収機関は、行為者が故意又は過失のいずれにより税法上の義務違反に至ったのかを斟酌し、異なる処罰を下さなければならない。 |
|||
「税務違章案件裁過料額或倍数参考表」(「税務法規違反案件に科される過料の額又は倍率についての参考表」。以下、「参考表」という)の使用注意の第4点には、「参考表に定める過料の額又は倍率が税法に規定される最高限度額又は最低限度額に達しておらず、法規違反の事情が重大又は比較的軽微な場合、依然として、税法に規定される最高限度額又は最低限度額まで、その罰を加重又は軽減することができる。但し、審査報告においてその加重又は軽減の理由を説明しなければならない」と記されている。財政部が定めた参考表は、税務調査徴収機関が処罰を行う際の参考にすぎず、当該機関の裁量権を制限するものでは決してない。しかし、現在の実務において、税務調査徴収機関は、多くの場合、税法上の義務行為規定に違反したことについて非難程度を斟酌することなく、ことごとく、参考表に示されている過料の額又は倍率に基づいて横並びの処罰を行っており、法に合致しない。 |
|||
最高行政裁判所の2013年の102年度3月分第2次庭長法官聯席会議決議(以下、「最高行政法院決議」という)は、行為者が所得税法第88条の規定に違反し、差し引かれるべき未納付又は納付不足分の税額が20万台湾元以上となり、期限内に、差し引かれるべき未納付又は納付不足分の税金を追納し、かつ、事実に基づいて源泉徴収票を追加提出した場合、税務調査徴収機関が一律に、「参考表」の所得税法第114条第1号前段の罰則規定により法定最高額の倍額の過料を科していることについて、是正を求めている。最高行政裁判所決議は、「税務調査徴収機関が、差し引かれるべき未納付分の税額が20万台湾以上の行為者の過失行為について処罰する場合、かかる過失行為は各故意行為に比べて非難程度が低いため行政罰法第18条第1項の規定及び『参考表』の使用注意の第4点に基づいてはならないというわけではなく、過料倍率を低くすることで、法規の授権裁量の主旨に適合させる。仮に、税務調査徴収機関が直ちに倍額の過料を科し、かつ、斟酌したうえで法定最高額の過料に処すべきとの結論に至ったその理由を具体的に説明しないのであれば、法規で付与された裁量権の不行使とみなし、裁量の怠慢という違法事由を有する」と認めている。 |
|||
最高行政裁判所決議が行政罰法第18条第1項の規定及び「参考表」の使用注意の第4点を引用して詳しく解釈した処罰裁量原則は、すべての処罰案件に適用されなければならない。これに基づけば、税務調査徴収機関は全面的に検討しなければならず、現在、参考表に示されている過料の額又は倍率に基づいて一律で横並びに処罰され、かつ、まだ確定していない案件については、行為者の非難程度を案件ごとに斟酌し(即ち、行為者の故意による行為か、又は過失による行為かを区別しなければならない)、適当な過料の額又は倍率を新たに定め、かつ、行為者が故意又は過失行為を構成する理由を具体的に説明しなければならない。十把一絡げに、「たとえ故意ではなくとも、過失がないとは言えない」との一言で済ませてはならない。過失により税法の規定に違反し処罰を受けた納税義務者は、当該処罰が確定する前に、自発的に原処罰機関と意思疎通を図り、過料の額又は倍率を引き下げる機会を勝ち取ることによって、自らの権益を守るべきである。 |