ニューズレター
租税回避及び実質課税原則の新規定
立法院が2013年5月29日に改正、可決した「税務調査徴収法」(「税捐稽徵法」)第12条の1の規定には、租税回避の定義及び関連規定、実質課税原則の租税調整方式と事前照会制度が追加規定されている。しかし、これらの追加規定条文が今後の実務運営に及ぼす実質的な影響については、なお観察の余地がある。 |
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租税回避の定義、挙証責任及び協力義務などの一般規定の追加に関しては、税法に早くから類似する関連規定が置かれており、かつ、裁判所の判決もこれまでずっと類似の見解を採用してきた。したがって、将来、当該追加規定により実務運営が受ける影響も顕著なものではないはずである。 |
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次に、実質課税原則の租税調整方式に係る一般規定の追加に関しても、それぞれ、税法の関連規定を整理統合したものにすぎず、税務調査徴収機関が遵守すべき調整原則又は方式も具体的には提出されていないので、税務調査徴収機関が現在行っている調整の仕方or方法に対する影響は大きくない。実際、税務調査徴収機関が租税回避事件について実質課税原則に基づき租税調整を行う場合は、もとより応能負担原則及び比例原則などの行政法上の一般原則の拘束を受け、当該規定の追加の前後で異なる点はない。 |
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納税義務者が取引を行う前に税務調査徴収機関に対して事前照会を行うことができるとする制度の追加規定については、当該制度によって、納税義務者が税務調査徴収機関から明確な、又は具体的な回答を得ることを保証することはできないが、事前照会を申請した納税義務者は、その後、租税回避に係る紛争が生じた場合、「事前照会申請時に誠実開示義務をすでに果たしている」との主張や、「自発的に事前照会を申請しており、租税逃れの故意又は過失がないことは明らかである」との主張ができるようになり、処罰を受けるリスクを低減することができる。 |