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専利権侵害に対する予防的手続きを行使するに当たって、 権利侵害者に意見陳述の機会を与えるべきか否か



専利権者がその権利を行使するに当たって、保全目的のため、事前に様々な予防的措置を講じることはよく見られる。たとえば、仮差押を申立て、権利侵害者の財産の処分を凍結することで、その資産の処分を予防し、後日の損害賠償金に係る執行を保全すること、若しくは仮の状態を定める処分(仮処分)を申立て、権利侵害者が権利侵害製品の製造、販売を継続することを禁じることで、専利権者の受ける損害の継続的な拡大を防ぐことである。そのほかにも、証拠保全を申立て、権利侵害又は損害額を証明する重要な証拠物について先に保全を行うことによって改竄又は滅失を防ぐこと、専利権者の実際情況の評価に協力することで、訴訟の予防という目的を達成することができる。
上記の預防的措置のうち、仮差押及び証拠保全については、権利侵害者が事前に情況を察知して資産の移動又は重要な証拠の隠蔽といった対策を講じることを防ぎ、後日の執行をスムーズに行うため、通常、秘密審理原則が採用される。これは、執行当日にはじめて仮差押裁定又は証拠保全裁定を権利侵害者に送達するという「抜き打ち的」な執行方式により目的を達成しようとするものである。一方、仮の状態を定める処分(仮処分)については、関連する製造販売活動の停止が権利侵害者の事業経営に極めて大きな影響を及ぼすことが予想されるため、民事訴訟法及び「知的財産案件審理法」(「智慧財産案件審理法」)のいずれにも、原則として裁判所は裁定前に権利侵害者に意見陳述の機会を与えなければならない、と明確に規定されている。
ただし、上記申立てが第一審裁判所によって却下され、専利権者がこれを不服として第二審に抗告を提出した場合、民事訴訟法第528条第2項の「抗告裁判所は裁定を下す前に、債権者及び債務者に意見を述べる機会を与えなければならない」とする規定により、仮差押、証拠保全又は暫定状態を定める処分(仮処分)のいずれについても、裁判所は原則として、意見を述べるよう権利侵害者に一律に通知する。しかし、そうした場合、たとえ抗告裁判所が専利権者の主張に同意し、その申立てを認める判断を下しても、元来、仮差押及び証拠保全手続きで重視される秘密性は完全に失われる。専利権者がなお仮差押又は証拠保全の執行を強く望むのであれば、通常、抗告を放棄するか、又は別の裁判所に仮差押の新たな申立を提出することしかできないが、「別の裁判所を選ぶ」という方法は、知的財産裁判所が知的財産事件について優先管轄権を有する現状においては、必ずしも実行可能ではない。
保全手続きとしての仮差押であるから、権利侵害者が仮差押執行前に事前に財産を隠蔽又は処分するのを防ぐためには、その秘密性に特に注意を払わなければならない。強制執行法第132条第1項には、仮差押の執行は裁定を債務者に送達すると同時に又は送達前に行わなければならないと規定されている。これに準ずると、抗告手続きにも同じ原則を採用しなければならず、そうでなければ、仮差押制度の立法目的に合致しない。
この法律問題は、司法界において長い間議論され、専利権者その他の一般債権者を大いに悩ませてきたが、ついに最高裁判所が2014819の第12回民事法廷会議において、「仮差押申立てを却下する裁定に対して債権者が抗告を提起するに当たって仮差押の秘密性をなお維持しなければならない場合は、債務者に意見陳述の機会を与える必要はない」との決議を行った。
ただし、同様に秘密性が求められる証拠保全手続きについては、現在のところ、最高裁判所がまだ同様の態度を表明していないため、専利権者の証拠保全申立が、第一審裁判所で却下された場合は、抗告の提出を通じて、抜き打ち的に証拠保全を実施し、有利な証拠を得るという元来の目的を達成するのは難しい。
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