ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

「無効審判の審決取消訴訟における専利権者による訂正請求」に関する行政裁判所の見解


簡秀如/Frank Lee

同一商標又は専利権(専利:特許、実用新案、意匠を含む)の有効性をめぐる紛争が行政訴訟(日本の審決取消訴訟に相当)の蒸し返しにより解決が遅れることを減少させるため、知的財産事件審理法(台湾中国語:「智慧財産案件審理法」)第70条第1項は、「商標登録の取消し、廃止又は専利権の取消しに係る行政訴訟において、当事者が口頭弁論終結前に、同一の取消し又は廃止理由について提出した新証拠につき、知的財産裁判所(202171日に「知的財産及び商業裁判所」に組織再編、以下「IPCC」という)はこれを斟酌しなければならない。」と規定している。早くも2015414日に、最高行政裁判所は、20154月付第1回審判長裁判官合同会議(二)の決議において、専利権者は、無効審判請求人が行政訴訟で初めて提出した新証拠に対して、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)の無効審判請求の段階が終了しても、同局にその権利範囲の訂正を請求できると明確に示した。その後、201951日に、専利法も第74条第3項に但し書きを新設し、「無効審判請求の審理期間において、専利権者は答弁、補充答弁、又は応答の通知を受けたとき、その期間内に限り訂正を請求することができる。ただし、特許権が訴訟係属中の場合は、この限りではない。」と規定している。これは、無効審判の行政訴訟中に専利請求の範囲を訂正する根拠となる。

 
これにより、専利権者は、行政訴訟において無効審判請求人から新証拠が提出された場合、智慧局に訂正を請求できることに異論はない。しかし、この時、裁判所はどのように扱うべきかについて法律上明確に定められていない。最高行政裁判所とIPCCは以下のような見解を示している。
 
一、      裁判所は智慧局による訂正請求の処分結果を待ってから判断すべきである。
最高行政裁判所は、2016630日付の105年(西暦2016年)度判字第337号判決において、裁判所は訂正請求の許否について自ら判断すべきではなく、智慧局の処分結果を待つべきであると判示した。理由は以下のとおり。
 
1.     専利請求の範囲は、係争専利の進歩性を判断するうえで重要な位置を占めており、係争専利の専利請求の範囲が不確定である場合、進歩性判断の次のステップに進むことはできない。
 
2.     専利事件における専利請求の範囲の訂正請求が、無効審判の行政訴訟手続き中に智慧局に成されたが、当該訂正の技術的内容は、専利主務官庁によって認められ、公告された場合、その出願日に遡って効力が生じる。訂正の許否は、係争専利の技術的特徴の解釈と確定に関係している。したがって、専利法に規定される訂正要件を満たすか否か、訂正後の内容がどのようなものであるかについては、IPCCは、智慧局による訂正請求の処分結果を待ってから判断すべきである。
 
3.     専利権者が法に従って訂正請求をした場合、当事者が事実と法律について適切かつ完全な弁論、及び必要な申出と陳述ができるよう、訂正処分の結果を待ち、訂正処分の内容を提示するのは当然である。そうして初めて、当事者間で十分な弁論があったと言え、判決を下すことができる。
 
その後の最高行政裁判所の107年(西暦2018年)度判字第391号判決及び108年(西暦2019年)度判字第211号判決も同様の見解を採用し、「訂正の許否は、専利請求の範囲の解釈と確定に関係していることから、裁判所は、専利無効審判の行政訴訟において審理される明細書又は専利請求の範囲を確認する前に、智慧局による訂正処分の公告を待つべきである。」旨を繰り返し述べた。智慧局による訂正処分の確定を待つべきか否かについては、IPCC105年(西暦2016年)度行専訴字第99号判決は、上記最高行政裁判所105年(西暦2016年)度判字第337号判決でこの点について言及されておらず、智慧局による訂正処分が公告されたら、裁判所は、当該訂正処分に基づいて専利無効審判請求の適法性について判断することができると判示した。
 
二、      裁判所は、智慧局による訂正処分の結果をどのように待つべきか。
IPCCが智慧局による訂正処分の結果をどのように待つべきかについては、上記最高行政裁判所105年(西暦2016年)度判字第337号判決にも、その後の判決にも判示されておらず、各事件の状況に応じてIPCC独自の判断に委ねられているようである。一般的には、裁判所がその後の開廷期日を延期し、智慧局から訂正査定の通知を受け取った後に開廷期日を決めることが一般的である。しかし、IPCCは、2024118日付の111年(西暦2022年)度行専訴字第37号裁定において、より慎重なアプローチをとっており、直接、訴訟手続の停止の裁定を下している。
回上一頁